株式会社曙家商会
http://trattoria-ciao.com
事業内容:飲食店経営
設立:平成2年6月
従業員数:社員15名 パート従業員30名
代表取締役 関口 仁 様
失敗も含め、経験を蓄積させていくこと
長く飲食店を経営してきて沢山の若い社員やアルバイトさん達と接してきましたが、どうも全体的に元気さが足りないなぁと感じていますね。飲食業界に飛び込んでくる人たちは100人いたら100人が自分のお店を出して独立したいって思っているものですが、独立するって結構パワーがいるものですよ。3%消費税が上がったら、簡単にそれだけ利益がなくなるってことですからね。勤めていたら給料は支払われるわけだから、その間にできるだけ多くのことを、失敗も含め経験して蓄積していくべきだと思いますね。どうしてもしんどかったら辞めるも良し、だけれど、山を越えたからこそ得るものもありますからね。
やらなくちゃいけないことはちゃんとする、やりたいことは寝ないでやれ
僕の生き方、働き方のベースとなっている言葉がありましてね、高校生の時に母親に言われた言葉です。群馬で同級生とバンドを組んで、それが結構人気もあって、東京に出てプロになってやる!って思っていたんですよ。一方で、堺正明の『天皇の料理番』っていうドラマをみて衝撃を受けて、料理人の世界にも興味を持った。どっちの道に進もうかなと迷っていた時に、母親が「両方やりなさいよ」って言ったんです。「寝ないでやればいいじゃない」って。「やらなくちゃいけないことはちゃんとしなさい、やりたいことは寝ないでやればいい」っていう言葉に、そういう考え方があるのかとびっくりして、素直にきいてみようと思った。それで、バンドの仲間と皆で東京に出てきて、調理師学校に通いながら、バンド活動をして、生活費も稼がなきゃいけないから飲食店でアルバイトもして、3足のわらじで忙しい日々を過ごしていましたね。
評価者は自分じゃない
そこから10年間くらい、そんなふうに音楽中心の生活を続けて、28歳の時にシェフとして就職しました。女性って30歳くらいで結婚を意識するじゃないですか。男はその前に、生活を守ってあげられるようにしっかりしないといけないわけで、自然とそう思うものですよ。じゃあ音楽に夢中になっていた時間は無駄だったのかといえば、そんなことも全然ない。最近当時一緒に音楽をやっていた仲間と会った時に、「俺の方が絶対技術的にはうまかったのにな~、おまえのライブの方が人気だったよな~」と笑い話をしたんですけど(笑)評価者はお客さんであって、自分じゃないんですよね。それはライブをやっていても、飲食店をやっていても同じで、そういったことを、音楽活動の中で沢山学んだなって思います。母親の「寝ないでやれ」っていう言葉は、「一生懸命やれ」っていうことでしょう。一生懸命やったことからは、自然と色々な気づきがあるものです。だから今、何かしら進路を大きく変えようと悩んでいる人がいるのなら、自信を持って早めに切り替えて全然問題ないと思いますよ。
期待されることを、ちょっとだけ超えてみる
結局、素直に一生懸命やることが大事。僕はそんな経緯で今の会長のお店にシェフとして入って、社長に抜擢してもらって今に至るのですけど、何か特別な秘技があったとか才能があったとか、そんなんじゃありませんよ。ただ、〝期待されることをそれ以上にやってきた“と思う。上司になってみると、指示したことが求めたとおりに返ってくることってほぼないってことがわかります。だから、求めたことをちょっと超えて返してくる人は目立つんです。そういう人に新しいことを与えるし、それが積み重なると昇進になる。僕が調理している時に、生クリームを取ってきてくれと社員に頼んだことがあったんですけど、その時、その社員はただ生クリームのパックを持ってきただけじゃなくて、すぐ次のタイミングで鍋に入れることをわかっていたから、口を開けて、こちらに向けてそっと置いたんです。それが今の汐留のお店の店長です。そういうふうに、期待されることをちょっとだけ超えてみると、100点が120点になる。どんな世界、業界であってもこのことはいえると思いますよ。まず最初はとにかく素直に、指示されたとおりにやってみることです。